■講義ノート


滋賀県立大学1995-2001
 滋賀県立大学環境科学部環境計画学科環境社会計画専攻教授(95年4月〜01年3月)


■ 担当講義歴一覧

 ◆ 環境学原論(1995-2000)


(1)テーマ
 時空間的に有限で境界が明確でない環境の認識レベルを高めるには、「計画」概念の導入が必須である。また「計画」を学術対象にすることで、自然科学と人文科学の接合をはかる。

(2)講義の内容
 経済発展という所与の目的のもとで演習化されてきた開発偏重の地域行政、目的と手段の混用、計画組織の硬直性などの問題を実例を通じて総合的に検討し、計画手順、意思決定の構造などに関して環境計画がかかえる問題解決の困難さ、開発と保全の調整または経済と環境の調和を標榜しているモデルの理論的欠陥を解説する。さらに、理想としての多重循環型共生モデルへのアプローチを示し、最後に人口を主要フレームとする既存計画の妥当性も検討する。

(3)授業計画
 @ 建築計画と環境計画の類似性と相違点(計画領域の認識と自律性)
 A 地域計画と環境計画の階層性(Top-down型とBottom-up型)
 B 将来計画・制約条件・目的関数(問題の定式化と合成の誤謬)
 C planningとProgrammingの違い(環境の窮状と計画のジレンマ)
 D 環境容量理論概説(人間活動の規制から環境計画への移行)
 E 環境計画の類型(牧場モデル,費用・便益モデル,経済波及モデル,多重循環共生モデル)
 F カタストロフ・モデル(未来の不確定性、破局型分岐モデル)
 G 環境型人間のモデル(平均寿命の意味、リゾーム型情報ネットワーク)

(4)成績評価
 定期試験のほか、出席回数、不定期ミニレポートなどを総合して判定する。

(5)その他
 講義内容の理解を容易にするため、時局問題を適宜読み切り講義として加える。
 参考書:末石冨太郎『都市環境の蘇生…破局からの青写真−』(中公新書)