■講義ノート


滋賀県立大学1995-2001
 滋賀県立大学環境科学部環境計画学科環境社会計画専攻教授(95年4月〜01年3月)


■ 担当講義歴一覧

 ◆ 環境学原論(1995-2000)

(1)テーマ
 倫理学が登場する契機は関連問題の深刻化にある。倫理を議論する目的は人びとの意識と行動を問い直すことであるが、環境倫理を単なる道徳論から科学へと展開する道をも探究する。

(2)講義の内容
 個別学問の近代科学的な発展過程では、いわゆる価値体系を切り捨てることでそれぞれの体系化が可能になったということができる。前半の講義では、これらの実例を挙げながら、科学発展以前にあった倫理性の解釈について総論する。後半では、現代の問題を通じて、ある分野の倫理が他分野のそれと絡みあっていること、倫理学が社会の時代文脈全体を考察することに他ならないことを、経済倫理、企業倫理、教育倫理などの具体的場面を設定して考察する。

(3)授業計画
 @ 倫理学と哲学(学問にもゴミがある)
 A 生態学と経済学(アダム・スミスヘの回帰)
 B 文化としての家政と技術(文明社会の野蛮人)
 C 医療/医学と生命科学(臓器移植の倫理性)
 D 伝統社会の環境倫理(人間と環境との共生の原点)
 E 環境倫理と経済倫理(貧困からの解放)
 F 環境倫理と企業倫理(消費者の保護)
 G 環境教育と環境倫理(共育を原点として)

(4)成績評価
 試験を中心とするとともに、日常メディアから関連情報を読み取るレポートを課す。

(5)その他
 参考書:河上肇『貧乏物語』(岩波文庫)、Rachel Carson『沈黙の春』(新潮社)、加藤尚武『環境倫理学のすすめ』(丸善ライブラリー)、その他(講義中に紹介)